“宮島=定番の観光地”
そう決め付けるのは、少し早いかもしれません。
先月、私は宮島に「一人で」訪れました。
滞在期間はたったの二日。それでも、宮島の魅力を全身で感じて、癒されて、
絶対にまた訪れたいと感じることができた旅だったのです。
伝えたいことはたくさんあるけれど、
今回はそんな私の “忘れられない宮島旅” の鍵となった
一件の温かいゲストハウスについて、
筆を取りたいと思います。
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「今日鹿庭荘に宿泊予定ですか?」
宮島に降り立った途端、TOKIOの山口似の男の人に話しかけられた(かなりドキッとしました)。
パニックした私は一瞬勧誘を疑い、慌てて断ってしまいました。
実は宿の名前(読み方?)がうろ覚えだったのです。
冷静になり、今から自分が行こうとする場所の名前をよく見ると、そのままの文字が。再度声をかけ、無事に宿に連れて行ってもらえることに(なんとまぬけな…)。
と、言っても歩いたのは1分ほど。鹿庭荘はフェリー乗り場を背にした通り沿い、すぐ近くに佇んでいました。
先ほどの彼は鹿庭荘(kaniwasou)のオーナーで、その日の宿泊客をいつもピタリと当ててしまうそう。
「本当すごいですよね」と、ふふっと笑う笑顔がとても可愛らしい女の人に受付を済ませてもらって、いよいよオーナー直々宿の説明に。
入り口の頑丈なガラス戸を入ってから、そこに広がるお洒落な空間に心が高鳴りっぱなしだったのです!
居るだけで、自らも洗練されたような気分になるデザインと雰囲気。
玄関すぐ横には寝転がって本が読めそうな畳スペースと本棚、デザイン性の高いランプ。
受付カウンターの奥には思い思いの作業ができる大きなソファと広いテーブル。
自由に使える開放的なキッチン(ティファールの湯沸かし器とフライパン、いつでも飲めるコーヒーも)。
シャワー室前の鏡台にはなんとコテが用意されている(女子的にはとても嬉しいはず!)。
ゲストハウスって、こんなに至れり尽くせりなのか…と驚きつつ、オーナーさんの丁寧な説明を一通り受け寝室へ。
荷物の整理を終えたら、畳スペースの棚を物色しつつ早速ごろ寝で読書をしました(ひざ掛け毛布があったのも嬉しかったなあ)。
ここには私を知る人なんて誰一人いないのです。
皆が思い思いのことをしている空間では何も気にせずゴロゴロできる。
(玄関の棚に並べられていた、センスが感じられる本たち。)
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日が落ち、お隣の宿の最上階にあるお風呂(鹿庭荘の宿泊客だと伝えるとサービスしてもらえる)と景色を堪能したのち、あらかじめ教えてもらっていた干潮の時間に大鳥居のライトアップを見に行きました。
満天の星空の下夜風に当たりつつ、港の素晴らしい夜景を横目に、静かにこちらを見つめる鹿たちと心の中で会話しつつ(?)…大鳥居までの道を一人で歩くのは気持ちの良いもの。
鳥居を真下から見上げると、その大きさと壮大さにただ溜息が漏れるばかりで。
ちっぽけな自分なんてどうでもよくなってしまいます。
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宿に帰りキッチンのテーブルで日記をつけていると、
オーナーの「UNOしませんか?」の一言で、カードゲーム大会が始まりました。
簡単な自己紹介をして、たわいもない会話をしながらひたすらUNOを楽しむ。
みんなルールなんかうろ覚え。初対面の人と「それルール違反ですよ〜!」なんて笑いながら過ごす時間はちょっと不思議で、温かくて、最初は4人ほどだった和がいつの間にか10人ほどの大きな円に。
この宿には一人旅の客が沢山集まっていて(もちろんグループの方もいます)、話を聞いていると本当に一人ひとりのストーリーがあって面白い。
自分探しをしたり、喧騒から逃げたり、何も考えなくて良い空間での気分のリセットを求めてきていたり。
目的も、出身地も、年齢も、何もかもバラバラだけれど、
「なんだか日常から距離を置きたい気分で」という一点では共通している人たちが集まる場所なのです。
自分のことを話すにしても、話したいことだけを話せばよく、無理に掘ろうとしてくる人もいません。
「安くてお洒落な宿に泊まりたい」という目的で紹介してもらった鹿庭荘は、いたるところにオーナーのこだわりと温かみが溢れていて、
確かに宮島に新たな空間と楽しみ方を提供していました。
既存の街並みや伝統はそのままに、「新しいもの」「現代的な空間」と融合しながら今日も進化を遂げる宮島。
もちろん、大好きな人たちと一緒に訪れるのも素敵だと思います。
事実、私も「次は私の好きな人たちを連れて来たいなあ」と強く感じました。
でも、都会の喧騒や日々のプレッシャーに揉まれて、ふとした瞬間に「あ、今疲れているな…」と感じた人にこそ訪れて欲しい “優しい宮島の顔” があることを、ぜひ知っていただきたいのです。
そしてそんなあなたに、鹿庭荘の心から落ち着ける空間と、温かい人たちを、
私は自信を持っておすすめします。
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